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アレルギー性鼻炎

アレルギーのしくみ

人間の体は、体内に異物が侵入しようとすると、これに対する抗体という物質を作ります。そして再度、この異物が侵入しようとすると、抗体は、異物を敵と判断してこれを排除しようとする仕組み(免疫)を持っています。我々の体は、この免疫反応により、外部から侵入する細菌やウイルスを排除し、体を守っています。ところが、この免疫反応が自分にとって不利益な症状をきたす場合、これをアレルギー反応と呼びます。

人の鼻では、しゃみ、鼻水、鼻づまりなどの反応が起こり、これにより引き起こされる症状をアレルギ-性鼻炎と呼びます。

アレルギー性鼻炎の原因

花粉やハウスダスト、ダニ、カビ、動物の毛などがあり、

  1. 通年アレルギー性鼻炎:ハウスダスト、ダニなど一年を通して症状を引き起こすもの。 
  2. 季節性アレルギー性鼻炎:スギ花粉など、特定の季節にのみ引き起こされるもの

に分類されます。

 アレルギ-性鼻炎は増えていますか?

アレルギー性鼻炎になる年齢の若年化が問題になってきています。

2歳、3歳から花粉症やハウスダストによるアレルギー性鼻炎になる人が増えています

鼻アレルギー診療ガイドライン(2016年版)によると、花粉症をはじめアレルギー性鼻炎に悩む人は、国民全体の39.4%(2008年)に上り、これは、1998年の調査の29.8%と比較すると、10年間の間に約10%も増加しており、この傾向は今後もしばらく続くと分析されています。(図1,2)スギ花粉症を例にとっても、16.2%(1998)から26.5%(2008)に増えています。

過去30年間にわたり東京都が調査したスギ花粉症の割合も急増しており、0~14歳では、2.4%(1983~87年)→8.7%(1997年)→26.3%(2007年)に、15-29歳では、14.6%(1983~87年)→22.1%(1997年)→37.1%(2007年)と増加しています。2017年に慈恵医大耳鼻咽喉科の先生方と、4回目の調査に加わり、花粉症の方の割合はされに増加傾向にありました。(図3)

図1:l998年と2008年の鼻アレルギーの有病率

図2:鼻アレルギーの年齢層別有病率

 

アレルギ-性鼻炎は何歳から発症しますか

アレルギー性鼻炎の発症の低年齢化が進んでいます。外来で、1~2歳くらいからアレルギー性鼻炎の症状が見られることもあり、2歳で花粉症に発症することもあります。

 

図3:スギ花粉症の有病率(東京都)

 

アレルギーは遺伝しますか?

アレルギー体質、すなわち、アレルギーの原因に対し、抗体(IgE)を作る素因(体質)は親から子供へ、遺伝しやすいと言えます。しかし、いつ発症するか?どんなアレルギーになるのか?は、個人差があります。アレルギーの発症は、生まれ持っている素因(体質)の他に、生まれてからの生活環境などの影響を受けて決まってゆくと言えます。

症状

くしゃみ、鼻汁、鼻づまり、目のかゆみ、喉のかゆみ・痛み、咳発作などです。

アレルギーの原因となる異物が鼻に侵入すると、まず、それに対する抗体という物質が作られます。アレルギーの場合は「IgE抗体」という物質作られます。すると、再度、異物が体内に侵入すると、異物を外敵とみなし、「肥満細胞」から、ヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が放出され、この外敵を排除しようとして、くしゃっみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を引き起こします。

診断

外来では、鼻の中の粘膜を見て、くしゃみ、鼻汁、鼻づまりなどがないか、その他、アレルギー性鼻炎の人に多い、鼻出血、のどや眼のかみなどを有無をチャックします。アレルギー歴(喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)などの合併も重要です。アレルギーを引き起こす抗体を調べる検査は、血液検査を行い特異的IgE抗体を調べる(RAST検査)、皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチ検査)などがあります。

治療

外来では、アレルギーで腫れた粘膜、鼻みずをへらすため、鼻処置やネブライザー治療を行います。治療薬は、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などを処方し、その他に、点鼻薬を処方します。近年は、眠気少ない抗ヒスタミン薬など、その方にあった薬を選択できるようになっています。ドラッグストアで購入し使用して、効果が十分でない場合や眠気が津yかった場合でも、その方のアレルギー症状に合わせ治療をすることが可能です。これまで絵の治療で、十分な効果がなかった方も、是非、受診をおすすめします。

 生活指導はどのようにしますか

アレルギー性鼻炎は、自分のアレルギーの原因物質を吸い込まなければ起こりません。

ハスダストの場合は原因はチリダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)です。ダニは温度25-30℃、湿度60-80%で繁殖しやすくなり、ダ二の死骸、糞などがアレルギーの原因となります。まず、ダニ対策が重要です。その他、花粉症の中で最も多いスギ花粉の場合は、マスクをする、家の中に花粉を侵入させない、花粉情報を利用するなどの対策が効果があります。

アレルギーは治るのですか?

さまざまな治療薬を使ってもアレルギー疾患が治っているわけではありません。

アレルギーを治してゆく根本的治療法に「アレルゲン免疫療法」があります。

これには、アレルギーの原因物質より作ったワクチンを体内に少しづつ増量しながら入れてゆく方法です。これまでは、注射による、「皮下免疫療法(SCIT)」が主流でしたが、

注射をせず、痛み、毎回の通院の回数がへった「舌下免疫療法(SLIT)」がわが国でも、受けられるようになりました。2014年からスギ花粉に、2015年よりダニ(ハウスダスト)の

舌下免疫療が、資格を持った「認定医」の下で治療可能です。

 

 アレルゲン免疫療法の特徴(鼻アレルギーガイドライン2016)

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