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ながくらクリニック通信vol41 (2012/1/29)

【2012年スギ花粉症予報・対策 Q&A] 

【2012年のスギ花粉予報 第2報 訂正2012.1.28】

1、スギ花粉総都飛散量(ダーラム法)

①都内で、約2,000から3,000個台/cm2個(シーズン) の花粉量と予想されています(グラフ参照)。 
・ 今年のスギ花粉飛散量の予想については、昨年12月には、夏の気象条件と着花量の結果より、都内において4,100から4,600個と予想されましたが、その後の花芽の調査により、年明けには当初の予測値より少なめに修正されています。また、本年は、調査機関により予測値にかなり差異が生じており、正確な予測が困難な状況と言えます。花粉は、200から300kmまで飛散しているため、今シーズンは、静岡、房総、北関東など東京周辺の地域において比較的花粉量の多い地域があることにより、これらの地域より都心に届く花粉により花粉数が多くなる状況が起こりうるため、花粉量の変化、急激に増加する日には、例年通り花粉予測を参考に対策を立てることが必要です。
②関東で、観測史上2番目に多かった昨年と比較して約20-30%位と減少すると予想されています。
昨年より花粉数が減るもの、花粉症を強く引き起こす目安の2,000個・シーズンを超えると考えられるため、また.花粉症症状を強くする目安といわれる30個/cm2・日を越える日数が、今シーズンで、約1ヶ月はあると分析されるため、十分な注意が必要な花粉シーズンと判断し、備えを固めてください。

2.飛散開始日

今年の冬の気候が例年並みかやや寒いため、南関東で、2月中旬 (2月17日頃)
(参考)飛散開始日とは、ダーラム法で1個/cm2以上の日が連続して観測された初日と定義されているため、飛散開始日にはかなりの割合の人がすでに花粉を感じています。

3.花粉症症状の程度について

症状の重症化を起こしやすい30個/cm2以上の日が、シーズン中4週間以上はあると予想され、花粉症症状を強くする可能性が十分あると予想されます。
昨年(2011年)の大量飛散によりスギ抗体が増えているため、花粉飛散数は昨年より減少するもの、症状が強くなりやすく、十分な注意が必要なシーズンです。
③スギ花粉飛散総数が2,000個・シーズンを超えるということは、気温の上昇により一気に花粉増加が起こりやすいため、リアルタイムの花粉情報などを参考に、急激に多くの花粉に暴露されないように十分注意して下さい。

2012年スギ・ヒノキ花粉症対策 Q&A

① 治療法 Ⅰ

Q1予防的治療(初期療法)はいつから始めるのでしょうか?
 治療開始は、症状の発症を軽くするため飛散開始より2週間前より(予防的治療)、あるいは、軽症のうちに開始し、シーズンを通じて鼻粘膜の過敏性を高めないことが大切です。
 一般に、アレルギーの治療に使う薬は、①使用後すぐ効く抗ヒスタミン作用と②アレルギー反応を引き起こす肥満細胞の反応性を抑制し、アレルギー症状の発現を予防する効果がでるには、1~2週間がかかるため、スギ花粉症の場合は、例年2月の上旬から中旬頃、飛散開始が始まることより計算して、飛散開始の1~2週間前より治療を始めることにより予防することが可能です。

Q2.治療にはどのような薬をつかうのでしょうか?
 使用する治療薬は、大きく分けて以下のようです(鼻アレルギー診療ガイドライン 2009年版による)。
①内服薬
抗アレルギー薬・抗ロイコトリエン薬・抗トロンボキサン薬・抗プロスタグランディン・Th2サイトカイン阻害剤など
②外用薬
1.点鼻薬(ステロイド薬・抗アレルギー薬)
2.点眼薬(抗アレルギー薬など)
③その他:漢方薬など

Q3.内服薬を飲むと眠気があり、薬を飲めないのですが?
 近年使用される治療薬は、眠気の少ない第2世代の抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬が多くでてきています。しかし、仕事能率を低下させないもの、車の運転などに影響のないものなど、使用状況にあった薬剤の選択が望ましいといえます。また内服薬でどうしても眠い場合には、点鼻薬を使用する、抗ロイコトリエン薬などを併用する方法があります。

Q4.抗アレルギー薬の副作用でインペアード・パフォーマンスというのはどうゆうものですか?
 「気がつかれない作業能率の低下」とも解釈され、クシャミ・鼻水・鼻閉などをおさえる抗ヒスタミン薬には眠気を起こす作用があります。最近開発された薬は、作業能率、注意力、脳波に影響をよりおよぼさないものが開発、使用されるようになっています。

Q5.副作用が心配なのですが?
内服で使用する抗アレルギー薬・抗ロイコトリエン薬などについては、アレルギー疾患の治療・コントロールのため長い場合には数年使用する場合にも安全性が確認されています。しかし、薬の薬理作用を考慮すると100%安全というわけではありません。
そのため、アレルギー専門医に、他の疾患の合併の有無・喘息・アトピーなどで使用している薬との相互作用等の問題について診察時ご相談ください。
ステロイド点鼻薬は、1日1回・2回と使用回数が少ないものが開発され、体内に吸収される量は微量なため、長期使用においても、大人のみならず小人でも、体のホルモンバランス等に影響のないことが確認されています。

【スギ花粉情報参考WEB】
1. 東京都の耳鼻科医による花粉症のページhttp://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/
(慈恵医大花粉症のページより名称が変更されました。)
2.NPO花粉協会http://pollen-net.com/
3.東京都の花粉情報http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/kafun/
4.環境庁 花粉観測システム“はなこさん”http://kafun.taiki.go.jp/

②治療法 Ⅱ

Q6.妊娠中・授乳中は薬を使えるのでしょうか? また妊娠が分かった時はどうでしょうか?
 基本的に治療薬の使用は避けた方が良いと判断されています。
 特に妊娠初期の器官形成に関わる時期には、治療薬の使用は避けた方が良いと言えます。
また妊娠後期になると、循環血液量の増加が影響して鼻閉の増強する時期もあります(妊娠性鼻炎)、この時期に症状が強い場合には、婦人科の主治医と相談して使用可能な治療薬を選択します。
授乳中も、治療薬の使用はなるべく避けた方が望ましいのですが使用可能な治療薬がありますのでご相談下さい。
また、治療薬を使用中に妊娠が確認された場合、それまで使用した治療薬により影響が出た報告はありません。しかし、その後は器官形成の時期に入りますので使用を中止して下さい。

Q7.市販薬と処方薬の違いは?
 市販薬(OTC)は、「誰にでも、おおよそ効果が期待できるための物」です、それに対し、診察して処方する薬は、個人の症状・病態・他の治療との相互作用を判断し、そのときの症状に最も適切な処方をします。また処方薬に含まれる有効成分は、一般に市販薬より多く、そのため、より効果的であり、また医療保険の適用もあり経済的でもあると言えます。
また、市販の点鼻薬・内服薬には、血管収縮剤(交感神経刺激薬)が含まれる物が多く見受けられます。これらの薬は、鼻粘膜の血管を収縮させるため粘膜の充血・腫脹をすばやく改善しますが、数時間で効果がなくなり、特に点鼻薬の場合頻回に使用すると作用時間が短くなり、そのため使用量が増加しリバウンドを起こし、「点鼻薬性鼻炎」という薬を中止しない限り鼻閉の改善しない状態になりやすいことからも、使用には十分注意が必要であり、治療法についてはアレルギー専門医に相談を薦めます。

Q8.ジェネリック(後発医薬品)とはどうゆう薬ですか?
 処方される薬には、最初に製品を開発、臨床試験に合格して治療薬して認められた新薬(先発医薬品)と、発売後年数がたち特許がきれると、ほぼ同じ成分としてジェネリック医薬品(後発医薬品)が許可される場合があります。後発医薬品は、医薬品の開発費が必要でないためコスは安くなりますが全く同じ薬という訳でもありません。有効成分以外の成分が異なる場合、剤形が異なることなどがあり、安全性・薬効も先発品と全く同じ物でもありません。(当クリニックでは、ジェネリックとして信頼できる物を選び使用することがあります。しかし、すべての後発医薬品を把握することは困難なため、希望の場合は診察の際お尋ね下さい。)

Q9.注射で治療をすると聞きましたがどのような治療でしょうか?
 花粉症をステロイド注射で治療をする場合があります。ケナコルトというステロイド薬を筋肉注射(上腕または、大量の場合は、臀部(おしり))することが多いようです。副腎皮質ホルモンを大量に注射するわけですから、女性では、ホルモンバランスが崩れ、生理が変わるなどの症状、また、高血圧・糖尿病・循環器疾患・緑内障・白内障などの基礎疾患を合併する場合は、特に副作用の発現に十分注意しなければいけません。(鼻アレルギー診療ガイドライン2009でも、花粉症の治療法には入っていません。)また、ステロイドは脂肪組織の萎縮を起こし注射部位の陥没を起こしたことも報告されています。 現在、アレルギーの治療薬は進歩していますので、これらの治療法で十分症状を軽減できると考えています。

Q10.減感作療法とはどのような治療法でしょうか?
 自分の体に対しアレルギーの原因である物質(花粉症の場合、「スギ治療用エキス」)抗原を
現行では、少量より量を増量して注射してゆくことにより、過敏性を抑制して、アレルギー反応を起こさないよう免疫システムを変えてゆく治療法です。

(詳しくは、2012スギ花粉症予報・対策 Q&A の減感作療法を参照して下さい。)

③症状について

Q11スギ・ヒノキの花粉はいつ始まり・いつ終了するのでしょうか?
スギ花粉の飛散開始は、例年
2月上旬から中旬に始まり4月にはいると減少します。
ヒノキ花粉は、
3月下旬からは始まり5月の連休すぎには終了します。
(その飛散量は関東周辺ではスギ花粉の約10-15%位ですが、約80%の人は遺伝子によりスギ・ヒノキの両方に抗体を産生します。)

 

Q12鼻づまりがつらいのですが、良い治療薬がありますか?
 花粉によるアレルギー反応により、肥満細胞(マスト細胞)より放出・産生されるヒスタミン・ロイコトリエンのどの物質が、クシャミ・鼻水・鼻閉などの鼻症状を引き起こします。特に鼻閉に対し、抗ロイコトリエン薬の使用が効果的であることが確認されてきました(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン2009)。

Q13.咽頭の痛み・耳症状・熱感・発熱などがありますが、風邪との違いは?
花粉症は鼻のみの症状でなく、耳・咽頭・喉頭の症状、全身のだるさ、軽度の発熱の症状を合併します。そのため、発症の初期には風邪と区別がつきにくいことがあります。具体的診断には、
皮膚検査・血液検査により診断をしますので専門医にご相談して下さい。

Q14.2才の子供が今春鼻水・鼻閉・眼のかゆみ等を訴えるのですが?(子供の花粉症)
 花粉症発症の低年齢化が進んでいます。早い場合1歳(2シーズン目に発症する子供を診察する事もあります。)で発症することもありますので受診してご相談して下さい。

Q15.両親が花粉症なのですが、生まれた子供が花粉症に発症することを予防できるのでしょうか?
 花粉症に発症するか・しないかは、個人の遺伝子、発育時の環境などが影響して決定すると考えられます。しかし、発症のリスクを軽減させる方法としては、スギ花粉症に時期に花粉との接触をなるべく少なくする、生後からの離乳食の取り方、生活環境・衛生環境において、注意できる点を改善することなどが、有効であると考えられています。

Q16.花粉症の時期になると咳発作がとまらないのですが?-咳喘息についてー
 花粉症の時期に、鼻アレルギーや喘息などのアレルギー疾患のある場合、下気道の過敏性が高まり咳発作を起こしやすくなることがあります。咳喘息とも呼ばれ、気管支の炎症・過敏性を改善するため、抗アレルギー薬、抗ロイコトリエン薬、吸入ステロイド薬などで治療します。

Q17.花粉症は高齢になれば症状がなくなりますか?また高齢で発症もありますか?
 加齢による免疫機能の変化により、症状が軽症に(鼻水のみになるなど)なったり、症状の消失する場合も(60歳をすぎると約10%くらいとも言われています。)ありますが、その反面、60歳を越えてからの花粉症発症もあるため、(発症の高年齢化)現在、症状のつらい方は、まず現在の症状に対する治療が必要と言えます。

Q18.日本人以外の国籍の方も日本に来て花粉症になりますか?
 スギ、ヒノキの木は、世界的に見てほぼ日本に特有に分布しています。日本においては、厳密には、北海道と沖縄にはほぼ生育しません、また中国大陸(中国杉)、北米(ロッキーマウンテン・シダー)、南米など地球の温帯地域に存在します。また、これらの木の花粉の抗原性はほぼ同様と分析させていますが、生息する地域はごくわずかです。
 したがって、日本に来た外国生まれの方は、日本に来て初めてスギ花粉と出会うことになりますが、
もし、スギ花粉に対する抗体を産生する遺伝子を持つと、スギに対する特異的抗体が産生され、感作→発症という過程を引き起こす事となります。外来で問診すると、一般に、外国の方が日本に来て発症するには、少なくとも3年くらいかかると思われます。

④ 生活の注意点 Ⅰ

Q19花粉症で日常の注意することは(花粉症対策)?
①花粉に鼻・眼に入らないよう予防対策を立てる。
1.シーズン中窓を開けない、衣類についた花粉を落として家は入る、髪についた花粉は早めに入浴により洗い落とすなどです。
2.花粉情報を参考に、花粉量の多い時には、マスク・ゴーグル等を使用する。
②(花粉情報WEB.)
1. 東京都の耳鼻科医による花粉症のページ(慈恵医大耳鼻科の花粉症のページ):http://www.tky.3web.ne.jp/~imaitoru/
2.環境庁花粉測定システム(はなこさん):http://kafun.taiki.go.jp/
3.東京都の花粉情報:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/kafun/index.html
(当クリニックHPにおいても、随時、花粉情報・治療のアドバイスをリリースします。)

Q20花粉グッズの選び方は?
マスクの選び方
1.不繊布であること。(最近のマスクは改良され性能が向上しています。)
2.隙間が出来ないこと。(自分の顔にあったマスクにより70―80%以上カット出来ます。)
3.清潔であること。(使い捨てがのぞましい、また付着した花粉を持ち込まないため。)
4.その他:メガネをかけた時曇らない、女性はお化粧がつかないなど。
メガネ・ゴーグルの選び方
 眼の症状を軽減するためには、花粉を眼に入れないようにするため、通常のメガネも直接花粉が入るのを防止できます(約70%と言われています。)。より確実にブロックするには、花粉グッズとして作られたゴーグル・ドライアイ用のものがあります。

(追加項目:手術)

Q21、手術療法について
 治療薬によっても鼻閉・鼻汁過多などが十分改善されない場合、手術の適応となり、
①鼻中隔湾曲矯正術 ②下鼻甲介切除術などが行われますが、外来での日帰り手術として、レーザー治療・シェーバー・電気焼却など新しい手術器具が開発されてきました。
 しかし、手術療法によっては、アレルギー体質自体は改善しないため、また過敏性も持つ鼻粘膜が再生してくると、アレルギー症状が再発してしまいます。このため、手術の適応は慎重に行い、総合的には免疫療法との併用が望ましいと言えます。
 (また当クリニックでもレーザー手術(アルゴン・プラズマ:APC)が可能ですが、この手術は鼻粘膜の再生・治癒に3-4週間かかるため、基本的に花粉シーズン直前・中にはあまりすすめられません。)

⑤生活の注意点他 Ⅱ

Q.22眼の症状に対する治療について
 花粉症の時期には、抗アレルギー薬の点眼薬インタール・ザジテン・リボスチン・パタノール点眼液など)や、抗アレルギー薬の内服を使用します。また、鼻症状に対し、花粉飛散前より予防的投与を行うことが効果的であるのと同様に、点眼を予防的に早期から行うことも有効です。
 しかし、抗アレルギー薬の点眼薬により、花粉飛散のピーク時に、どうしても眼症状が軽減しない場合、ステロイド点眼薬(一般に、0.05、0.1%フルメトロン点眼薬など)を併用することが必要となることもあります。しかし、ステロイド点眼薬は慎重な使用が望ましく、眼症状(眼球結膜、眼瞼腫脹など)の改善しない場合には、眼科の受診を薦めています。

Q23.コンタクトレンズ使用の場合の注意点について。
点眼薬の使用法

ハード・ソフトコンタクトレンズや使い捨てコンタクトレンズ1day・2week・1Monthなど)を使用する場合以下の注意が必要です。
①点眼は、原則としてレンズを装着していないときに使用してください。
②点眼薬をさして、コンタクトレンズを装着する場合は、少なくとも5分間あけてください。

(もし、レンズ装着中もかゆみ・充血などが軽減しない場合にはレンズを使用しない選択をして下さい。)
コンタクトレンズ装着中も人工涙液の点眼が(目に入ってくる花粉を洗い流すため)可能です。
症状が強く、ステロイド点眼を使用する場合は、短期間(1週間以内)、あるいは症状が改善したら、通常の点眼: 抗アレルギー薬の点眼薬などの点眼に切り替えてください。
⑤2種類の点眼薬を使用する際は、間隔を5分あけて下さい。
◎その他

◆眼の洗浄剤について
 市販のカップ式などの洗浄器具は、眼の周りについている汚れやスギ花粉のアレルゲンを眼に入れる危険性もあり、また洗浄剤の中に防腐剤が入っていることもあり使用には注意が必要です。
 使用の前に洗顔をして、顔、目の周り花粉、汚れを落としてから使用してください。

Q24.スキンケアについてー花粉症皮膚炎―
 花粉症の時期になると、皮膚のかゆみ、特に花粉が直接当たる顔の皮膚がかゆいなどの症状を訴える人がいます。花粉症皮膚炎とも呼ばれ、アトピー性皮膚炎・ドライスキンなどでバリアー機能の低下している状況でより起こりやすいと言われています。対策としては、マスク・帽子・めがね(ゴーグル)をして、花粉が直接皮膚に当たるのを避ける、ドライスキン・アトピー性皮膚炎の対策としてのスキンケアを十分して、皮膚のバリアー機能を低下しないよう注意すること、抗アレルギー薬を内服するなどの対処が大切です。

アレルギーの免疫治療 ~減感作療法Q&A~

皮下減感作療法とは?
 アレルギーの原因物質を精製した治療用エキスを濃度の薄いものから濃いものへ増量して皮下注射をしてゆくことにより、過敏性を軽減してゆく治療法です。原理は、アレルギー反応が起こりやすい状態の原因となっているTH2サイトカインの過剰な反応を抑制し・TH1とTH2のバランスを直すこと
遮断抗体という物質が増加すること・抑制性T-cellの誘導・特異抗原によるアネルギー誘導などにより、免疫システムを変化させ不利益なアレルギー反応が過剰に起こることを抑制する治療法です。

どのくらいの回数・期間するのですか?
 一般に、週1~2回の割合で、前腕部に注射し、維持量まで達したら1ヶ月に1回に間隔を延長し維持療法に移行し、まず1年を目標に続けます。その後は個人差がありますが治療効果をあげるためさらに少なくとも1年実施することを説明しています。

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例)スギの場合、5段階の濃度を6回ごとの注射量で増加すると維持量に達するのに、
  5×6=30回の計算になりますが、維持量に近づくと注射が腫れやすいため投与量を調整します。
  そのため、腫れ方によって回数が変わってきます。

注射は、何種類するのですか?
 アレルギーの原因によりますが、多くてハウスダスト、スギ、カモガヤ、ブタクサに対してです。

費用はどのくらいですか?また毎シーズン治療薬を使用するのとどちらが良いでしょうか?
 1回の治療費は、保険適応の30%負担で約400~800円(1種類)位です。(初再診、処置、処方箋料等が別途かかります。)毎シーズンの治療費と、減感作療法を実施した場合の経済的比較をした計算がありますが、
①減感作を施行することにより治療薬は、減量また不要になることを考慮すると、長期的には、減感作療法の方が効果的と分析されています。
②この減感作療法は、現在までのアレルギー疾患の治療薬で十分治療効果が得られない場合、対症療法で使用する薬剤を増加してアレルギー反応を抑えこむのとは違い、免疫が過剰反応を起こしているシステムに抑制をかけ、不利益なアレルギー反応が起こらない状態を誘導するという、対症療法とは基本的に異なる根本的なアレルギーの治療法であるというメカニズムの違いがあります。

副作用は、ありますか?
 注射量が維持量に達するまで通院回数がかかりますが、治療エキスが体に及ぼす副作用はありません。しかし、注射の量が増加すると、注射部位が腫れたり痒くなることがあります。そのため投与量を注射の腫れが、①注射後15分(即時反応)・②遅い時間の反応(遅発反応:6-8時間後あるいはその後)、直径20mmを基準に調節します。

妊娠・授乳中は出来るのでしょうか?
 スギ花粉は、通常体に入ってきている物質ですので、減感作療法は、治療用に抗原エキス(精製した抗原タンパク成分)を大量に投与し免疫の過剰反応を抑制します。そのため一般治療薬のような副作用はなく、妊娠、授乳中も施行可能です。

注射で喘息発作が誘発したり、アトピー皮膚炎が増悪することはありませんか?
 注射の反応が強い時、投与量を無理に増加すると喘息が誘発されることはあると言われますが、このようなときは、全身のアレルギー反応が亢進して過敏性が高まっていることにより症状が発現していると判断されます。(当クリニックでは、十分注意して無理な増量はしないため、全身の重篤な過剰反応は経験していません。)

治療効果はどのくらいですか?またどのくらい維持するのですか?
 維持量まで達すると、治療効果は約70%と判定されています(施設により異なります)。この数値は、ステロイド点鼻薬・抗アレルギー薬の治療効果がおおよそ70%いかないことを考慮すると、長期間の通院の回数は必要ですが、治療法として取り入れることを考慮してよいと判断できます。また治療の途中でも対症療法で使用する薬剤が減らせる、免疫的効果が発現しているため治療薬の効果が出やすいなどの利点もあります。治療が維持量まで達し、その後注射をやめても個人の免疫反応により違いをあると言えますが、治療薬の必要のない状態、発症しない状態に誘導が可能と判断できます。

子供でもできるのですか?
 注射は痛みを伴うため、自分で病態の理解ができ、自分で治療を希望した場合に行います(そのため、小学校に上がってから施行する場合がありますが、慎重な判断が必要です)。

新しい治療法(経口減感作)その他はいつ実施の予定なのでしょうか?
 スギ花粉に対する経口減感作(舌下免疫療法:SLIT)は、臨床での治療効果の確認、安全性の確立を目指して臨床試験(第Ⅲ相)を2011-2012年まで実施中です。この治療法は、今後、治療法として認可され、一般の治療として実施してゆく予定で、いよいよ2014年に一般で治療が可能になる目安がついてきました。

(追加項目)

Q35今後の新しい治療法について
スギ花粉症に対する経口減感作(舌下免疫療法:SLIT)は2010年より臨床試験(第Ⅲ相)を2年間にわたり実施しています。
当クリニックでも臨床試験(治験)に参加していただいており、今春(2012年)で終了します。
予定通りに進めば、2014年には、SLITが実施できる目処がついたと判断できるところまで来ました。
②また、ハウスダスト(ダニ)に対する(舌下免疫療法:SLIT)は、世界中で研究が進んでいるところで、2012年夏には、日本でも、ヨーロッパ(フランス、デンマークとの共同研究で)ハウスダストの舌下錠で治験が進むところまできています。
参考Webhttp://www.torii.co.jp/release/2011/110128_02.html
http://www.yakuji.co.jp/entry20476.html
当クリニックでも、2012年よりダニに対するSLITの治験・研究に協力してゆく予定であり、詳細が決定しましたら、HPでお知らせいたします。
花粉症緩和米は、遺伝子組み換え食品にあたることより、今後、治療用薬として安全性、効果判定をすることが必要なためプロジェクト推進が困難な状態です。
http://www.yakuji.co.jp/entry21898.html

Q.36スギ花粉にに含まれる放射能について
 2011年より環境庁、林野庁、民間で、放射能の問題を検討しています。結論からいえば、スギ花粉に含まれる放射能はごく微量であり、今シーズン、たとえ都内に飛散するすべての花粉が福島県より飛散するものであっても、花粉症のシーズン中に体内に入ると考えられる放射線量は、1マイクロシーベルトト以下で健康に与える影響はないことが試算されました。

(参考)

1.生活で受ける放射線量について
①胸部レントゲン写真を一枚撮影した時の放射線量は0.06ミリシーベルト
CT撮影5-30ミリシーベルト
③飛行機でNY-東京間を往復すると、0.2ミリシーベルト

2.林野庁:スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について(中間報告)(2011.12.27)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/hozen/111227.html

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