メニュー

ながくらクリニック通信vol47 (2013/3/13)

ドクターズファイルにクリニック紹介がのりました。

現在、アレルギー性鼻炎や喘息など3人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っています。そんな患者たちの悩みに対応している「ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック」。院長の永倉仁史先生はさまざまなアレルギー疾患に精通したアレルギー専門医で、耳鼻咽喉科の一般診療をはじめ、さまざまなアレルギーの治療を行っている。さらに耳鼻咽喉科ではまだ少ないというスポーツドクターでもあり、アレルギー疾患を抱えるスポーツ愛好者や、ドーピング検査が必要なアスリートにも心強い存在だ。これまでに、眼科や整形外科の手術を自ら経験したという永倉先生。それらの経験が、おそらく現在の先生の診療スタンスを培ったのだろう。医師でありながら患者の気持ちを理解してくれる、そんなやさしい先生という印象が強く残ったインタビューだった。取材の中ではスギ・ヒノキ花粉症の新しい治療法にも言及しているので、花粉症で悩んでいる方はぜひチェックしていただきたい。

(取材日2012年7月25日)

■ 医師にとって患者は多数でも、患者にとっては担当した一人の医師がすべて

Q―まずは時系列に沿って、先生のお子様時代についてお聞かせください。

クリニックの近くで生まれ育ったため、この辺りは昔から慣れ親しんだ場所でした。通っていた白金幼稚園は椎の木や大きな木々がたくさんあって、自然にあふれた素晴らしい環境でした。そんな中で伸び伸びと遊ぶ一方で、図鑑を見たり博物館へ行ったりすることも大好きでした。私の父も耳鼻科の医師で、ずっと大学病院で勤務医をしていました。そんな父に関し、幼い頃の記憶でよく覚えていることがあります。当時、私は父が勤める下町の病院に虫歯の治療に通っていました。歯の治療後に父のところに寄るんですが、いつも外来の最中で患者さんを診ている時は家族が会いに行っても相手にしてもらえないので、ずいぶん待たされました。そんな時は、父の診療している姿をじっと見ていました。父は本当にいつも忙しそうでしたから、子どもながらに「お医者さんて大変なんだな」と感じたことをよく記憶しています。

Q―医師になったのは、やはりお父様の影響が大きかったのでしょうか。

 それはあったと思います。兄も小児科のアレルギー専門医になっていますし、父は母校を心から愛して誇りにしていましたから、兄弟はみんな父の出身校である東京慈恵会医科大学を卒業しています。そんな父が、出張病院の部長を任されて定年まで勤め上げた後、郷里に帰って診療したいと言い出しました。その頃だと60歳を過ぎてから新たな環境で働くのは異例だったと思います。結局それから20年以上静岡県の沼津で開業医を続けたので、一生診療していたような印象があります。父にとって診療はおそらく生活の一部のようになっていたのだと思います。亡くなってからもう3年になりますが、体力の続く限り病気を治療していた姿を本当に尊敬しています。

Q―ほかに先生が医師をめざした理由はございましたか。僕

僕は子どもの頃斜視でした。まだ小さい頃に手術しましたがうまくいかず治りませんでした。小学生くらいになると自分でも気にしていたのを覚えています。それでもう一度手術が必要だということになって今度は父の同級生に、その後母校の眼科教授になった先生ですが、腕を信頼しその先生にお願いしました。今度はいとも簡単に治りました。その時に感じたのが、病気は手術法を選んだり、正しく治療すれば治るということです。自分にとってもこのことは大きかったですし子供心にも嬉しかったです。こんな経験の影響を受けてか自然と医療の道に進むことを決めていました。

Q―普段の診療で先生が大切にしていることを教えて下さい。

これまで私は、眼科や整形外科の手術を受けた経験がありますが、なかなか順調に回復するということがありませんでした。普段の仕事が耳鼻科という体を使う仕事の影響もあるからとは感じていますが、リハビリをしてうまくいかない時に、何年も通った先生に諦めたような対応をされた経験も忘れられません。今、診療する際、最も大切にしていることは、目の前にいる患者さんは診察で出会う何十人何百人の中の1人ですが、患者さんから見ればその時に診てくれている医師というのは自分にとってすべてと言ってよい存在であるということです。だから忙しくてもなるべく相手の身になって考えて話をよく聞くように心がけています。病気を直すための情報は患者さんが話してくれるものですから。 

■ 花粉症などの新しい治療に携わりながら、スポーツドクターとしても活躍

Q―どんな症状で来られる患者さんが多いのでしょう。

 耳鼻科ですから、やはりアレルギー性鼻炎の方が多い印象を受けます。アレルギー性鼻炎の方でも喘息を合併していたり、アトピーを持っていたりその症状はさまざまです。今までだと、例えば皮膚科で診たり、小児科で診たりと分かれていたものを、ここではできる範囲でトータルに診療したいと思っています。昔から耳鼻科というと額帯鏡をして診療するスタイルでしたが、先生が何を見て診断・治療しているか分かりにくいですし、受診する患者さんにとってはとっつきにくい診療科のように感じていました。現在は診療機器が進歩したことにより、内視鏡を使って画像を見てもらい病気の状態や治療内容を理解していただけるよう努力しています。ただし患者さんを診察して、これは専門の先生に診てもらったほうがいいと判断したら、積極的に大学病院などを紹介するようにしています。開業に際してこの場所を選んだのも、大学病院と連携を取っていきたいと思ったからです。患者さんにはできるだけ適切な治療を受けてもらいたいですから。また診療中にいろいろ説明しても、患者さんは全部を覚えられなかったり忘れてしまったりすることもあるため、パンフレットなどを作ってお渡しするようにして、十分に治療内容をお伝えできるよう心掛けています。

Q―アレルギーといえば花粉症の悩みも深刻です。

 花粉症はもう日本人にとっては国民病といってよいほど重要な課題です。ここ何年か、文部科学省でもスギ花粉症の克服に向けて力を入れていて仕事を委託されたりしました。今はちょうど新しい「免疫療法」が取りいれられようとしている時期で、これからもっと進歩ていくと思います。これまで花粉症といえば、薬を使って抑える対症療法と、アレルギー症状を起こす原因物質を注射して体を慣れさせていく「減感作療法」がありました。この「免疫療法」で、今注目されているのが「舌下免疫療法」という、舌の下に薬を入れる方法です。スギ花粉症に対してはあと数年で認可されると思います。現在はハウスダストの舌下免疫療法が治験を行っているところで、こちらは世界同時進行で近い将来認可予定という状況です。注射は痛いし、腫れたりすることもあるし、何度も通院する煩わしさもありますけど経口なら服用も簡単、子供でも取り入れられるというメリットもあります。日本はこうした新しい治療法で遅れている部分もあると感じています。ヨーロッパやアメリカでもアレルギー患者が増加し続けてしているため、国をあげて治していこうという動きが活発になっています。

Q―先生はスポーツドクターという肩書もお持ちですよね。

スポーツドクターそのものの人数はかなりいますが、耳鼻科ではまだ少ないと思います。スポーツ選手でアレルギー性鼻炎や喘息などの症状を持っている方が多い中で、運動するという環境や条件を理解して治療したり薬を出すドクターはまだまだ不足しています。自分も運動好きなので実感しますが、スポーツしている時に鼻がつまっていたら苦しいですし、それでコンディションが悪くなったら困ります。また、競技者にはドーピング問題などの課題もありますから、そうしたことに対応していきたいという気持ちがあって、スポーツドクターとして活動しています。主に水泳に関わることが多いです。日本水泳連盟の下に「日本水泳ドクター会議」という、水泳が好きな各科のドクターたちが集まったグループがあって、年に1回、総会と研究会を行っています。中にはオリンピックなどの国際レベルの大会に関わっているドクターもいらっしゃいますし、底辺的なことだと競技会の時に医務室の救護班を持ち回りで行うなどの活動をしています。自分もそういったドクターたちと交流しながら、貢献していきたいです。それと今は「ダイビングと耳鼻咽喉科」についても力を入れています、耳鼻科という領域はダイビングと直接かかわりを持ちますが、まだまだ十分な対応がなされていない事が多いと思います。減圧症を含め潜水医学をより勉強していきたいと思っています。

■ 院内の設備やレイアウトを工夫して、女性も通いやすいクリニックに

Q―患者層はどのようになっているのでしょうか。

 目黒はオフィス街なので、開業前は社会人の方がほとんどかな?というイメージがありましたが、実際には住宅も多く子どもたちも多く見えます。風邪をひいた、咳が止まらない、といった生後何ヵ月の赤ちゃんから、高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんがお見えになります。この辺りには大使館なども多いせいか、外国人の方も目立ちます。ベビーカーなどでお子さんを連れて来られる方も多いし、足の不自由な方もいますから、段差などがないバリアフリーにしました。お母さんが風邪をひいたら、ベビーカーを横に置いてもらって赤ちゃんをあやしながら治療を受けてもらったり、お母さんが聴力検査をしている時には、待っている子どもからガラス越しに様子が見えるように工夫しました。また受付を中心に院内を見渡せるようにして、隅々まで気が配れるようにもしています。プライバシーにも配慮した院内レイアウトになっていますので、女性の方も受診しやすいと思います。

Q―健康管理で実践されていることは?

自分の体調が良くないと仕事に差し支えますし患者さんにもご迷惑がかかってしまうので、食事には気を遣っています。週に1、2回スポーツクラブに通い運動をしています。以前怪我をしたこともあってトレーニングは欠かさないように心がけています。気分もリフレッシュできて心身共にリセットできるのがいいです。患者さんと対峙する時、自分の体調不良で患者さんの容体を見過ごしたりすることがないよう、いつも100%感性を研ぎ澄ましたような状態にして仕事をしたいですし、患者さんと接したいという思いが強いです。そのためにも常にベストな体調を維持したいと思っています。

Q―先生が今後やってみたいことなどをお聞かせください。

 海が好きでダイビングなどもしていましたが、開業するとなかなか時間が取れなくなってしまって、残念ながら今は行ってなません。学生時代はアイスホッケー部に所属していたこともありましたが怪我をしてしまい続けられませんでした。スポーツ全般が好きで、泳いだりテニスをしたりほぼ何でも経験しました。まとまった休みが取れたら、また海に行ったり運動もしたいと思います。そして、もっといろいろなものを見たいと思います。今は仕事に忙しくて自分の世界が狭くなってしまっていると思うので、例えば日本でも世界でも旅行に出かけたりして、刺激を受けたり見聞を広めたいという気持ちが強いです。開業してから今年で7年目を迎えますが、もっとこのクリニックを良くしていこうということで、今はまだ突っ走っているような状態ですから。もう少し余裕ができたら、自分のライフワークのようなことも考えていきたいと思っています。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME