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ながくらクリニック通信vol35(2010/12/16)

「2010年夏 スギ着花状況】

千葉県富里市の県道沿いに植えてある定点観測木のスギ雄花写真
(左:2010.8.7、右:2009.8.24、
佐橋紀男撮影
今年の方が8月上旬であるにもかかわらず、明らかに雄花の房が長く、一房の雄花数が多いことがわかる。

 

里山 
(山口県熊毛郡平生町、2010.8.23、西川恵子撮影)
NPO花粉協会情報提供

◆【塩野義製薬】舌下型の減感作療法薬を導入
‐家ダニ由来のアレルギー性鼻炎で開発 2010年9月9日 (木)

塩野義製薬は、フランスのスタラジン社が開発した、家ダニを抗原とするアレルギー性鼻炎に対する抗原特異的舌下免疫療法薬を導入するライセンス契約を、同社と結んだ。スギ花粉によるアレルギー性鼻炎についても、共同研究を進める。国内で、それぞれの第Ⅰ相臨床試験を来年1~6月に開始する計画だ。 

 家ダニの抗原特異的舌下免疫療法薬は、欧州での臨床開発が終了。製品名「アクテア」としてドイツでの承認申請準備段階にある。塩野義製薬は、日本と台湾における独占的な開発、販売権を取得した。 
 スギ花粉の抗原特異的舌下免疫療法薬は、日本スギを抗原として両社が共同研究を行い、日本での開発、商業化を進める。 
 特異的免疫療法(減感作療法)は、アレルギーの原因となる抗原を少しずつ増量しながら長期にわたって投与することで、抗原に対する生体の応答性を弱めていく方法。アレルギー症状を一時的に緩和する対症療法とは違って、根治的治療法と捉えられている。ただこれまでは、年余にわたって皮下注射を継続しなければならい上、アナフィラキシーショックを引き起こすリスクもあった。 
 「アクテア」は、家ダニ抗原を抽出し錠剤化したもので、口腔内で速やかに溶解する。全身性の副作用リスクも軽減されており、長期にわたって特異的免疫療法を継続できる。 
 スタラジン社によると、これまでの臨床研究から、アクテアは投与開始4カ月目からアレルギー性鼻炎の症状を改善する効果を発揮し、投与終了1年経過後も効果を示す成績が得られているという。 
 塩野義製薬はスタラジン社に対し、契約一時金として2400万ユーロ(約26億円)、開発の進展や承認取得に伴うマイルストーンとして総額4600万ユーロ(約50億円)、さらに販売額に応じたロイヤリティーを支払う。
国内の市場規模は、家ダニを抗原とするアレルギー性鼻炎への対症療法は約500億円、スギ花粉については約1000億円。注射による特異的免疫療法はあまり普及しておらず、舌下錠による特異的免疫療法がどれだけ新たな市場を構築できるかが、上市後の焦点になる。

◆スギ舌下減感作治験第Ⅲ相(2010年7月8日、新聞等に発表)

スギ花粉アレルゲンエキスを用いた舌下投与による減感作(免疫)薬の国内第Ⅲ相臨床試験計画概要(トリイ薬品)

対象患者 スギ花粉症患者 デザイン プラセボ対照二重盲検比較試験 試験実施期間(予定) 約2年間 試験開始時期(予定) 2010年 秋

 現在のところ、スギ花粉アレルゲンエキスを用いた舌下投与による減感作(免疫)療法は健康保険の適用外ですが、この投与方法を用いた臨床研究は、スギ花粉症患者を対象として既に国内の大学病院等の複数の医療機関で実施されており、その一部の結果は公表され、有効性と安全性が示唆されています。これらの結果を参考に、スギ花粉アレルゲンエキスを用いた舌下投与による減感作(免疫)療法薬の有効性と安全性を、プラセボと比較して検証します。

スギ花粉症舌下減感作(SLIT)(SUB-LINGUAL IMMUNOTHERAPY)

◆アレルギー免疫療法に必要な抗原量◆

【抗原量】
皮下減感作( SCIT)での至適用量:5~20μg
⇒ 舌下(SLIT)では50~100倍と判断される。

【 SLITの投与方法】
①舌下 吐き出し方
②舌下 嚥下法
③舌下錠 ⇒将来の開発(現在ハウスダストでは困難)

◆SLIT作用機序(効果発現のメカニズム)◆

1.TH1/TH2バランスの是正
2.制御性T細胞の誘導
3.T cell anergy
4.抑制性サイトカインの産生
5.遮断抗体としてのアレルゲン特異的IgG4抗体産生の発現
6.免疫的寛容

免疫療法が効果を発現する原因については、まだ解明されておらず、いろいろのメカニズムが関係すると解釈されている。

◆SLITの長所◆

①短期間で維持量まで増量できる。
②自己管理出来る(?)ため、通院回数 が減る。
③痛みがない。→小児への適応の拡大
③重篤なアナフィラキシーなどの副作用が報告されていない。

◆スギ舌下減感作 臨床第2相試験による投与スケジュール(東京都福祉局 2009年10月発表)◆

健康薬品で販売される“スギ花粉カプセル”を飲んで起きたショックの報告があります

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