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ながくらクリニック通信vol34(2010/12/12)

  【SLIT in Europe and U.S.A, Nowadays】    
◎ (SLIT) DropsSublingual Immunotherapy (Allergy Drops)
http://www.youtube.com/watch?v=8EWqbSyeFug
◎Allergy Drop Solutions - Nasal Congestion  
http://www.youtube.com/watch?v=PZpauDkZqos&feature=related
◎Allergy Drops (Sublingual Immunotherapy)  
http://www.youtube.com/watch?v=ycoIomQ24Xs
◎Allergy Drops Can Replace Shots 
http://www.youtube.com/watch?v=syVDH-yVEOM
  【舌下免疫療法の歴史】
①最初の治療法は、1990年、イタリア・スペインのグループが、皮下免疫療法(SCIT)のために使っていた注射用エキスを経口に投与し、治療効果が得られると 発表 した。

②日本において、
2009年10月、東京都の施行した2年間にわたる第Ⅱ相臨床試験の結果が発表され、約70%の有効性が報告された(東京都福祉保健局)。
皮下免疫療法:1911年 Leopard Noon のイネ科花粉症(カモガヤ)に対する治療法が、『Lancet』という有名な医学雑誌に初めて報告された。

◆世界で最初の
抗ヒスタミン薬(フェンベンザミン) 販売は1942年。
  【WHO見解書:1998】
舌下免疫療法(SLIT)
『喘息・アレルギー性鼻炎に対し、根治が望める、また修飾できる唯一の治療手段』 と発表された。
◆舌下免疫療法の方法◆
①【はき出し法】
パン屑などを舌下に入れ、そこに抗原エキスを滴下する。その後、2分間保持して吐き出す。

②【嚥下法】
舌下に入れ、2分後嚥下する。

③【舌下錠】
⇒欧米での実施・今後の研究課題


日本においても現在 ハウスダスト
舌下錠の治験(第Ⅰ相)を予定(2011年)
 
 
◆舌下免疫療法(SLIT)のメリットとデメリット◆
(長所)

1.短期間で維持量まで増量できる。
2.重篤なアナフィラキシーなどの副作用がない。
(舌下投与のため、血中移行しにくく重篤な副作用発現を軽減させる。)
3.注射と異なり疼痛がない。⇒小児にも適応が広がる。
4.通院の回数が減る。

皮下減感作の重篤なアナフィラキシー反応
⇒100万回に1回(0.0001%)

(短所・問題点)

1.副作用
①腹部症状(嘔吐、腹痛、下痢など)
②口腔内、口唇のかゆみ・浮腫・違和感・鼻や眼の痒み
③蕁麻疹
④喘息発作など
2.
コスト:SLITではSCITより大量のスギ抗原が必要となる(10-100倍)。
3.投与方法 ⇒ 治療範囲が明確でなくなる?自己管理の問題
(季節前減感作??ワクチン化??)
◆免疫療法における抗原必要量◆
①必要な抗原量
目安:SCITでは抗原の至適用量:5~20μg
(鼻アレルギーガイドライン2009による)
⇒ 
SLITでは50~100倍ともいわれる。
               (検討中)

②スギ抗原量(トリイ)
10,000JAU ⇔ ⇔ ⇔ Cry j 1が 7.3 -21ug/ml含有 
2,000JAU ⇔ ⇔ ⇔ Cry j 1が1.46-4.2ug/ml含有
(通常のSLIT維持量=2,000JAUx1ml)
SubLingual Immunotherapy So Far Only Effective for Grass Allergic Rhinitis
イネ科の
SLIT
舌下錠
Pfaar O, Klimek L. Efficacy and safety of specific immunotherapy with a high-dose sublingual grass pollen preparation: a double-blind, placebo-controlled trial. Ann Allergy Asthma Immunol. 2008 Mar;100(3):256-63.
◆SLIT 投与スケジュール (第Ⅱ相・東京都)◆
◆作用機序(効果発現のメカニズム)◆
1.TH1/TH2バランスの是正
2.制御性T細胞の誘導
3.T cell anergy
4.抑制性サイトカインの産生
5. 特異的IgG4抗体(遮断抗体)
6.免疫的寛容
などに よる。
◆健康薬品で販売される“スギ花粉 カプセル”を飲んで起きたショック◆

2007年和歌山で、49歳女性(スギ花粉症:17歳より、既往症なし)が、スギ花粉カプセル「パピラ」を服用し、運動(テニス)をしたところ、摂取約20分後、口唇・眼瞼の腫脹、蕁麻疹が発現し救急外来受診、その後、アナフィラキシーショックをおこし意識不明。気管内挿管し、意識を回復した。 
  
⇒これを契機に厚生労働省により『健康薬品の安全性』が見なおされた。

【スギ花粉を含む
花粉症症状を予防・治療のための製品は、薬事法上、医薬品に該当する】⇒販売中止

(和歌山医大 榎本教授のリサーチ)
◆パピラ1CUP中0.4 μg のスギ抗原( Cry J 1 )を含有
  (=SLIT維持量の1/10以下)
◆運動誘発性アナフィラキシーショック

IgE  56IU/ml
スギ  3+
ヒノキ 2+
ダニ  3+
ゼラチン他 (-)


◆スギ花粉症・その他の健康食品◆
◆まとめ◆

1.現在、スギ舌下免疫療法(SLIT)の臨床効果、安全性が確認されてきている(臨床第Ⅲ相・2010年)。

2.今後、皮下免疫療法(SCIT )に代わり
経口免疫療法が進歩してゆく状況である。

3.スギ花粉症のみならず、カモガヤ、ブタクサ、ハウスダストなどの対しても、小児より大人を対象に、世界的に実施されている。

4.治療方法、効果、薬価の問題等は、今後の研究、臨床実績により改善が期待される。

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