【2010年のスギ花粉予報】を発表します。
Ⅰ.花粉飛散状況【分析】 昨年度(2009年)夏の気候が、最高気温が例年より低めで日射量も少なめだったことにより、スギの雄花の着花量が、前年の主に7月から8月の日照時間および最高気温に最も影響を受けることを考えると、スギ花粉飛散総数は少なめと予想されます。
①スギ花粉飛散予想数(都内) 1.スギ花粉総数1,800-2,000個・シーズン、ヒノキ花粉はスギ花粉飛散総数の10-20%と予測されます。 2.全国的には、例年並みか少ないと予想され、特に2009年飛散量の多かった関東から東海地方においては少ない傾向にあると予想されています。
②飛散開始 暖冬傾向の影響を受け例年よりやや早い、2月初旬から10日と予想されます。
③花粉症対策 花粉症の予防のために予防をする方は、花粉飛散の開始する1-2週間前、すなわち1月中旬から遅くとも1月下旬までには、抗アレルギー薬などによる予防的治療をはじめてください。 (詳しくは、クリニックHPにて随時、情報を更新します。また、シーズン中は、毎日の花粉数、
Ⅱ.昨年(2009年度)のスギ・ヒノキ花粉飛散数について(総括)
1.2009年花粉総数は スギ 5000.5個 ヒノキ 785.3個 合計 5785.3個 と品川区における花粉観測、過去23年で第4番目に多い大量花粉飛散となりました。 シーズン前の予測値である、スギ花粉、約3000個を大きく上回る大量飛散となりました。 (2009年度は、天候・着花量によるこれまでの予測が大きくはずれ、これまでの回帰式、着花量による予測の精度の限界を実感した思いです。最も予測をくるわせた原因は、気象条件です。それだけ、現代の地球環境は、異常気象を引き起こしやすいといえます。我々が高度経済成長を最優先し地球環境を破壊してきた事実は、予想もつかない取り返しのつかない影響をおよぼしてしまい、そのつけが回ってきているような気がします。)
2.症状の重症化を起こしやすい日数が長期間にわたったため、症状の増悪が起こりやすかった。 50個以上⇒16日 30個以上⇒21日総数
3.特徴 ①2月14日の最高気温23.7度の影響を受け2月16日には1172.8個のスギ花粉が飛散しました。 ②花粉数多い症状の増悪しやすい個数である30個以上の日が、2月中旬より4月中旬まで、約8-9週にわたり連続持続したため、症状の増加を長期間引き起こしました。 ③1月から4月まで雨の日が少なく、花粉の飛ばない日がほとんどありませんでした。 ④ヒノキ花粉の多かったことにより、5月連休すぎまで症状の長く続く方が多く見受けられました。
Ⅲ.過去23年にわたるスギ・ヒノキ花粉飛散の推移および特徴
スギ・ヒノキ花粉の飛散総数の推移を見ると、 ①H.2年よりH.11年までのスギ花粉平均値が約2,000(1999.5)個 ②H.12よりH.21年までのスギ花粉平均値が約4,000(3960.4)個
すなわち、過去10年間のスギ・ヒノキ花粉飛散総数は、約4,000個になり、その前の10年間の平均個数が、約2,000個だったことを考えると、約2倍に増加しています。
この原因は、 ①植林したスギ、ヒノキの木の樹齢が20年を超え、花粉を多くつける樹齢になったこと。 ②地球の温暖化により、夏が猛暑になりやすくそのため、スギの雄花の発育が良くなりやすいこと。 などがあります。

補足:スギ・ヒノキ花粉の増加、地球温暖化について
・現在の地球環境が、スギ花粉の発育を増加させる因子に影響しているのが現状です。 ・現在のスギ花粉予報にたずさわっている村山氏は、「1990年代に、50年後には花粉飛散総数は、約1.5倍になる可能性がある。」と警告しました。
これは、植林したスギ・ヒノキの木の樹齢がより花粉を多くつける時期に入っていること、および、地球温暖化対策が、1997年京都議定書で温室効果ガス排出量が検討された後も、世界各国は自国の利益を優先しCo2の産出量をお金で売買したりしており、現在の対応が“焼け石に水”の状態にあることによると判断されます。そして、現在進行している異常気象は、暖冬、猛暑、寒波、集中豪雨、日本の亜熱帯化、海水温上昇などと身近な現象から少しずつに起こってゆき、あるときには取り返しのつかない、修復不可能な状態になっており、その時初めて人々は事態の重大さに気がつくと思われます。 身近なECOももちろん非常に大切ですが、世界的には大きな視野にたって対応しないと手遅れになる、あるいは、現状では修復できない状態にまで来ていると分析されます。未来の世代、地球環境のためよりいっそう早急に根本的な対応が必要とされていると思います。
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